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静岡の実力

寄稿/残間正之さん

初めて茶園を目にした時は驚きだった。年の半分近くがモノトーンの北海道に生まれ育った私にとって冬の緑は鮮烈そのもの。まして落葉した木の枝に色鮮やかな柿やミカンが撓わに実っているシーンは衝撃だった。考えてみれば雪に無縁の人たちにとって一晩で白銀に染まる北国の雪景色も同じかもしれない。

世界各地を旅していると自然環境の違いもさることながら、人種、宗教、歴史、風俗習慣など、その多様性に驚かされる。昨今、欧米では保護主義的傾向が強まっているが、違いを排除することから豊かな未来は育まれない。静岡県の類似都道府県データによると相関係数が最も希薄な地域は北海道と沖縄なのだそうだ。類似点が希薄ということは、食材や観光、さらに産業などが競合しない訳で、これは両者にとってある意味メリットではなかろうか。

考えてみれば、静岡に有って北海道に無いモノが多々ある。その筆頭は富士山、茶畑、温州みかんやポン酢に使われるダイダイなどの柑橘類、山葵、芽キャベツ、駿河湾の桜えび、シラス、そして深海から獲れる全長3メートルにもなるタカアシガニ‥‥。その一方、北海道に有って静岡に無いモノも多々ある。膨大な数のスキー場や温泉、鮭や昆布など北の海で育った海産物、全国生産量の50%を超えるジャガイモ、玉ネギ、小豆、インゲン、そして多種多様な豆類や乳製品‥‥。

北海道の食料自給率はカロリーベースでも生産額ベースでも200%以上。静岡県はカロリーベースで17%、生産額ベースでは53%。ある意味‟互産互生“の言葉のごとく、お互いに助け合わなければ日々の暮らしが成り立たない。ローカル to ローカル、似たもの同士も良いけれど、相関関係の薄い凸凹同士の方が刺激的で楽しいような気がする。これからも足らない分を補いつつ仲睦まじくお付き合い願えればと心から願う。

残間 正之

Masayuki Zamma

1953年、北海道生まれ。海外取材・趣味のフライフィッシングで世界71ヵ国へ。世界の辺境を知り尽くした旅人。専門誌やPR誌に国内外のレポートを発表するほか、テレビ、ラジオ番組にも出演。静岡県と北海道とを、ガイドツーリズムのレクチャーや6次産業化のアドヴァイザーとして行き来する。主な著書に「だからロッドを抱えて旅に出る」「世界釣魚放浪記」「フライフィッシング・ハイ!」などがある。北海道新聞のコラム『朝の食卓』を担当。


ローカル・トゥ・ローカルの、価値創造へ。

北海道出身・在住のフォトジャーナリスト、残間正之さんによる寄稿コラム。

「掛川」vs「札幌」 おもてなし流儀をご紹介。

『互産互消』で供給し合う、お互いの地域にない食材・商品をご紹介。

「静岡」「北海道」「沖縄」「京都」それぞれの産品を使い合う早春の食卓の創造。

北海道在住・佐藤みずきさんの静岡旅、静岡県在住・佐藤雄一さんの十勝旅。

西加南子さん「沖縄/関東・静岡」、原 文宏さん「北海道/静岡」の デュアル・ライド ライフ。

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